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擁壁工事の費用が高くなるケースとは?設置から解体までの費用相場を解説

擁壁工事は、建物や土地の安全を守るために欠かせない重要な工事です。

しかし、その内容や費用は、土地の状態や擁壁の構造によって大きく変わるため、あらかじめ正確な情報を把握しておくことが重要です。

この記事では、擁壁工事にかかる費用の相場や工事内容、注意点などについて解説しています。

無駄な費用や工事のやり直しを防ぐためにも、ぜひ参考にしてください。

擁壁工事の費用が高くなるケース

擁壁工事では、立地や構造条件によって費用が大きく変わります。

なかでも、次のようなケースではコストがかさみやすいため、事前に把握しておくことが大切です。

  • 周辺道路が狭い
  • 大規模な擁壁の設置が必要

ここでは、それぞれの理由について詳しく見ていきます。

周辺道路が狭い

工事現場までの道幅が狭いと、擁壁工事に必要な大型重機やトラックが進入できないことがあります。

その結果、資材を小型車両で何度も運ぶ必要が出てきたり、搬入・搬出に人力が必要となる場合も少なくありません。

こうした作業の手間が増えることで、全体の人件費や工期が膨らむ可能性があります。

また、交通量が多いエリアや見通しが悪い場所では、警備員の配置が求められることもあります。

安全対策に関わる人件費も費用を押し上げる要因です。

擁壁の規模が大きい

擁壁の面積が広くなると、それに比例して材料費や施工コストが増加します。

工事費用は通常「1㎡あたりいくら」という単価で算出されるため、規模が大きくなれば全体の金額も当然高くなります。

とくに高さのある擁壁は、安全性や耐久性を確保するために鉄筋コンクリート構造が採用されることが多く、ブロック積みなどと比べて相場が高くなる傾向です。

構造の違いが価格に大きく影響します。

擁壁工事の費用相場

擁壁工事の費用は、構造の種類によって大きく異なります。

以下は、擁壁のタイプ別に見た1㎡あたりの目安です。

擁壁の種類1㎡あたりの費用相場
鉄筋コンクリート擁壁3万円~10万円程度
ブロック擁壁3万円~5万円程度
石積み擁壁2万円~5万円程度

この相場はあくまで目安であり、実際の費用は立地条件や設計内容によって変わります。

正確な金額を知るには、現地調査をもとに業者から見積もりを取ることが欠かせません。

関連記事:【擁壁工事】擁壁の種類について解説

擁壁解体工事の費用相場

既存の擁壁を撤去する場合も、構造や周囲の状況によって費用は大きく変わります。

下表は構造別の解体費用相場です。

擁壁の種類1㎡あたりの費用相場
鉄筋コンクリート擁壁2万円~5万円程度
ブロック擁壁1.5万円~4万円程度
石積み擁壁1万円~3万円程度

一般的な住宅でも、全体で数十万円〜数百万円かかる場合があります。

とくに特殊な機材や重機を必要とする工事では、相場より高くなる可能性もあるため注意が必要です。

擁壁の補修にかかる費用相場

擁壁に軽微なひび割れがある程度なら、補修で対応できることがあります。

以下は代表的な補修内容にかかるおおよその費用です。

補修内容費用相場の目安
軽いひび割れ1㎡あたり1万~2万円程度
排水機能の補修(水抜き穴)1ヶ所あたり5万~15万円程度
表面の剥がれ・欠けの補修全体で10万~30万円程度
擁壁の一部再構築1㎡あたり4万~6万円程度

劣化の程度や構造によって補修の方法は異なります。

とくに再構築が必要なケースでは、補修とは比べものにならない規模になることもあるため、早めの点検と判断が重要です。

擁壁工事の費用を抑える方法

擁壁工事は条件次第で高額になりやすく、予算に悩む人も少なくありません。

ここでは、工事費用をなるべく抑えるために検討できる具体的な方法を紹介します。

費用がかかりやすい土地の購入を避ける

土地を購入する前に、擁壁工事が発生しやすいかどうかを確認することが重要です。

たとえば、高低差のある傾斜地では大規模な擁壁が必要になることがあり、それだけ費用がかさみます。

また、周辺道路が狭い土地では、工事に使う重機や車両が入りづらくなり、人力作業が増えると人件費や工期が延びる原因にもなります。

さらに、既存の擁壁が古い・劣化していると、撤去と再設置の両方が必要になる場合もあるでしょう。

購入前に現地を確認し、擁壁の有無や状態、周辺環境をよく見ておくことが費用トラブルを避けるポイントです。

補助金・助成金制度を活用する

自治体によっては、擁壁工事に対して補助金や助成制度が設けられていることがあります。

特に危険な擁壁の改修や、崩落リスクのある構造物の改善には公的支援が受けられるケースもあります。

制度の内容や申請条件は地域ごとに異なるため、あらかじめ各自治体の公式サイトや窓口で確認しましょう。

条件に合致すれば、申請することで数十万円単位の補助を受けられる可能性があります。

複数の業者から相見積もりをとる

擁壁工事では、同じような条件でも業者ごとに費用や施工方法が異なることがあります。

事前に複数の業者へ見積もりを依頼しておくことで、適切な範囲と内容の工事を見極めるための判断材料になります。

見積もりを比較する際には、単に価格の安さだけで決めるのではなく、工事内容の明細、追加費用の有無、使用される材料なども併せて確認することが大切です。

関連記事:擁壁工事に活用できる補助金|費用相場や高額になりやすいケースを解説

関連記事:擁壁工事の費用をなるべく抑えたいという場合は?

擁壁の解体や補修が必要になるケース

擁壁が劣化していたり、構造的に問題が生じている場合には、解体や補修が必要になることがあります。

とくに、ひび割れや傾き、膨らみといった目に見える変化がある場合は、早めの対応が求められます。

放置すると倒壊リスクが高まり、工事の規模も大きくなってしまうおそれがあるため注意が必要です。

ひび割れ

擁壁に発生するひび割れには、小さな表面の亀裂から、構造に影響する深いひびまでさまざまな状態があります。

軽微なものであれば補修で対応できますが、深く大きなひび割れは構造的な問題を含んでいる可能性もあります。

放置してしまうと、水の浸入による劣化や凍結によるひび割れの拡大が進み、全体の耐久性が低下するおそれがあり注意が必要です。

傾いている

擁壁が垂直ではなく傾いている場合、地盤沈下や設計不良、排水機能の不備などが原因として考えられます。

傾きが進行すると、擁壁の構造に重大な支障をきたす可能性があるため、早急に専門業者の点検を受けることが大切です。

安全性を保つためにも、早めの対応を心がけましょう。

水抜き穴の機能低下

水抜き穴は、擁壁内部に溜まる水圧を逃がす重要な役割を持っています。

この穴が詰まっていたり、排水能力が落ちていたりすると、擁壁にかかる圧力が増し、膨らみや傾きの原因となります。

水抜き穴の詰まりは一見してわかりにくいため、定期的な点検と清掃が重要です。

関連記事:擁壁が湿っているのは排水不良か?

膨らんでいる

擁壁が膨らんでいる場合は、内部の土圧や水分によって構造にゆがみが生じている可能性があります。

そのまま放置すると、ひび割れや崩落につながるおそれがあるため、早めの点検が重要です。

状況によっては補修や部分的な再構築が必要になることもあります。

沈下している

擁壁の一部が沈下している場合、軟弱な地盤や排水機能の不足により内部に水がたまり、水圧が過剰になることが原因と考えられます。

このような状態が続くと、構造に歪みが生じ、結果的に沈下やひび割れが発生する可能性があります。

放置すると安全性に悪影響を及ぼすおそれがあるため、状況に応じて地盤の補強や再施工などを検討するとよいでしょう。

擁壁工事の業者選びで注意するポイント

擁壁工事は専門性の高い工事であるため、業者選びが施工品質や費用に大きく影響します。

ここでは、依頼前に確認しておきたい注意点を3つ紹介します。

工事後のトラブルを防ぐためにも、事前のチェックが重要です。

見積もりと追加費用の確認

擁壁工事では、同じ条件でも業者ごとに費用や施工内容が異なるため、複数の業者から見積もりを取得し比較することが大切です。

工事内容が明確に書かれていない見積書は、あとから追加費用が発生する可能性があるため注意が必要です。

ただし、追加費用が必ずしも不当というわけではありません。

実際の現場状況や想定外の作業が発生した結果、やむを得ず費用が加算されることもあります。

だからこそ、事前に見積もりの明細を丁寧に確認し、業者の説明に納得した上で契約することが重要です。

見積もり取得時の対応や説明の丁寧さも、信頼できる業者を見極める参考になります。

許可と保険の加入状況を確認

擁壁工事には、規模に応じた「建設業許可」などの資格が必要です。

こうした許可を取得していない業者では、一定規模以上の工事を適法に進められない場合があります。

見落としがちな点ですが、依頼者がトラブルに巻き込まれるリスクを減らすためにも、事前に確認しておきたいポイントです。

また、工事中の事故や近隣への損害に備えて、「請負業者賠償責任保険」や「工事保険」に加入しているかどうかも重要です。

もしもの際に保険で対応できる体制が整っていなければ、結果的に依頼者側の負担が大きくなるケースもあります。

許可や保険の有無については、事前に書類の提示を求めることで確認できます。

工事を安心して任せるためにも、こうした基本的なチェックは怠らないようにしましょう。

地域の規制に詳しい業者か確認

擁壁工事には、高さや構造に関する建築基準法の規定や、地域ごとに定められた景観・防災に関する条例が関わってきます。

これらの基準を満たさずに施工すると、行政からやり直しを求められるおそれもあります。

そのため、地域特有の制限や申請手続きに詳しい業者を選ぶことが重要です。

初めから適法な工事を行うことで、無駄な追加費用や工期の延長を防ぐことにもつながります。

まとめ

擁壁工事は、地盤や構造、施工条件によって費用や工期に大きな差が出る工事です。

将来的な安全性を確保するためにも、費用だけでなく、構造や設置環境に応じた適切な工事を選ぶことが重要です。

補助金や助成制度の活用、見積もり内容の確認、信頼できる業者選びなど、事前にできる対策をしっかりと講じておくことで、無駄な出費やトラブルを避けることができます。

現地の状況やご希望に応じた最適な方法を見極めるためにも、まずは信頼できる施工会社に相談してみましょう。

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